結城浩著,数学ガール フェルマーの最終定理を読んだ.
この本は,高校生の「ぼく」と数学仲間の女の子たちとの日常生活を通じてフェルマーの最終定理を解説している数学読み物.このシリーズは肩肘はらずに読めるので,とても楽しく読んでいる.
本作でも,あくまで読み物であって学術書ではないので,フェルマーの最終定理の詳細まで立ち入らない.
そのかわり,フェルマーの最終定理の面白さを理解するための数学的な概念を,よく考えられた例をもちいて説明してくれる.
例えば「三辺が自然数で面積が平方数である直角三角形は存在するか」という問題で無限降下法の説明をして,なるほどなぁと思っていたら,それがフェルマーの最終定理のn=4のときの証明につながった.
ピタゴラスイッチ感があり,とても楽しい.
また,最終章では,アンドリュー・ワイルズ教授が証明を試みた当時にたち返って「何がわかっていて,あと何を証明すればフェルマーの最終定理が解決するか」を入り口として,どんなことをして解決したのかを説明する.
こういう考え方って,数学に限らず問題解決においてとても重要だと思う.新しいネタを探すときにも,論文を読んで,どこまでわかっていて,どこから未検証なのかってまとめたりするし.
とても売れているシリーズだそうなので,改めていう必要もないかもしれないが,ぜひ中学生,高校生の方に読んで体験してもらい,数学が決して無味乾燥なものでないことを知ってほしい.
僕の高校時代にもあればなぁ,と思った.僕の場合は「ご冗談でしょう,ファインマンさん」が数理科学に血を通わせてくれた本だったように思う.この本はこの本でとても良い本だ.「皿回しから新定理」などのエピソードを読んで,定理を作った学者さんも当たり前だけど人間なんだなぁと理解したことを思い出す.
2018年8月6日月曜日
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