椎名誠著 地球上の全人類と全アリンコの重さは同じらしい。を読んだ.
タイトルがいいですね.
これは,エドワード・O・ウィルソンというハーバード大学の教授がナショナルジオグラフィック日本版2006年10月号「アリの世界 その不思議な社会性を追求」という記事がもとにしている.
アリは小さいけれどたくさんいるもんな.
本文では,その事実から人間対アリの抗争について妄想する.
体重が同じ → 戦って白黒つける
というのは,若い頃格闘に熱中していた著者らしいというかなんというか.
本書はSFマガジンの「椎名誠のニュートラルコーナー」というコラムをまとめたもの.前作は2008年の「長さ1キロのアナコンダ」で,これも昔読んだ気がする.体の長さが1キロもあれば,神経伝達速度の問題で,しっぽがかじられてもその痛みが脳に伝わるまで何分もかかってしまうから,そんな生物はすぐに淘汰されてしまうというような話だったような.
本書の面白いところは,前述のウィルソン教授や,一般向けの科学書で有名なカクミチオ教授の本をベースにしてシーナ的SF妄想を読ませてくれるところだ.
完全にSF化された物語はアド・バードのように,現実世界とは違うシーナ・ワールドで物語が進む.一方で本書は現実の物理学を出発点にしているので,現実世界からシーナ・ワールドへの通路を覗き見ることができる.不思議の国のアリスのうさぎ穴みたいに.
しかも,本書は基本的に18話もコラムが入っているので,18個もうさぎ穴が覗けるわけです.お得ですね.
短いから電車の中などで気軽に読めるし,雑学欲も満たしてくれるので,おすすめ.
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