2019年10月10日木曜日

読書記録 ウォーレン・バフェットはこうして最初の1億ドルを稼いだ




グレン・アーノルド著 ウォーレン・バフェットはこうして最初の1億ドルを稼いだを読んだ.

ウォーレン・バフェットは伝説の投資家で,世界最大の投資持株会社バークシャー・ハサウェイの経営者.オハマの賢人とも呼ばれている.

そのバフェットが,(ほぼ)無一文からどのようにして最初の1億ドルを稼いだかが,本書では述べられている(ことになっている).実際に読んでみると,それぞれの投資で得られた利益が開示されていない場合もあり,結局どの時点で1億ドルに達したのかよくわからなかった.

本書の良いところは,そういうアオリのための見せかけの数字にとらわれず,バフェットが当時置かれていた状況と,どんな判断によって投資するに至ったのかが,それぞれのケースで丁寧に書かれていることだ.

それによると,大学時代に師事したバリュー投資の創始者ベンジャミン・グレアムの教えに心酔し,会社の価値を詳細に分析し,Mr.マーケットの気まぐれに騙されず,逆に利用した,というのがバフェットの根底にあるプリンシプルのようだ.

かといって,それだけで投資がうまくいく,というものでもなくて,バフェットはかなり経験から学んでいる.

例えば,子供の頃(なんと11歳)に姉と共同で資金を出し合い,ある会社の株を購入した.しかし,目論見ははずれて株価は下落.資金を出してくれた姉に面目が立たず,罪悪感を抱えて苦しい日々を送った.しばらくして価格を戻すとすぐに売却.この投資の利益は約5ドル.この経験からバフェットは出資者のお金を運用する責任感を学んだという.

その他にも,バフェットがフロートに目をつけたこと,投資をするだけでなく,経営にも関わったこと,など勉強になった.

フロートは,ブルーチップスタンプのようなスタンプを集めて商品を貰おう式のビジネスや保険のようなビジネスで発生する.顧客から先にお金を受け取って,支払いは後であるため,当面支払うあてのない余剰資金がでて,それをフロートという.フロートを投資に回せば,ある意味自分のお金ではなく,顧客のお金で利益を出すことができる.頭良いけど,損失をだしたら,と思うと怖い.片手間にできるようなものではない.
今だと,Suicaやバーコード決済のチャージ方式のものでも同様にフロートがありそう.規制は厳しくなってそうだけど.

また,バフェットの出資会社への経営への関与については,これは人間力がすごかった.まず,信頼をおいて経営を任せられる人を見つける.そして,基本的に経営はその人に任せるのだが,もしその経営者から相談があれば,時間を割いて親身に対応する.なるほどなぁ,と思うものの,実際やろうとしたら難しい.まず「バフェットに相談すればなんとかなる」と頼りに思ってもらわないといけない.舐められたら終わりだ.バフェットはそんな経営者を複数相手しなければならない.「ちょっと忙しいから」が続けば人心は離れるだろう.やっぱり,人なんですね.

そんな賢人も,バークシャー・ハサウェイの買収の件では怒りに我を忘れたような取引をしていて興味深かった.信頼を重視し,裏切りを許せなかったんですね.

ということで,ためになったことはためになったのだが,この浅い感想を見ればわかるように,バフェットが下した経営判断の具体的な凄みなどについてはイマイチ腹落ちしていない.経営や株に関する知識が足りなすぎるのだ.

もうちょっと経済を学んでから読み返したい本である.

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