2014年5月27日火曜日

読書記録「Steve Jobs」

 Steve Jobsの伝記を5月の連休中に読んだ。
 Steve Jobsは、よく知られているように、Appleの共同設立者の一人である。Steve Jobsの生い立ちから、病のためAppleの経営から身を引くまでが書かれている。
 途中、Appleを追放されるが、Appleを離れている時期に、NeXTを立ち上げたり、CGアニメーション映画制作会社のPixerの立ち上げたりしている。これらの会社も最終的に新生Apple, 新生ディズニーアニメーションとして実を結んでいる。





 本書を読んで注目したのは次の3点:
  1. 製品が全て
  2. こだわりは程度の問題
  3. 人とは違う性格を強みにする

製品が全て

Appleは、製品を妥協しない。本体だけでなく、パッケージ、広告、店舗も含めた製品を取り巻く環境も含めて、妥協しない。その評価に責任をもっていたのがJobsだった。

 そんな製品を、Appleはチームで作り上げていた。
 それなのに、Jobsだけが「特別」なのだという見方をされることに、チームメンバは不満を持っていた様子が書かれている。
 Steve Jobsは確かにその中心にいた。しかし、実際に手を動かすチームメンバがいなければ、こうした製品は作れなかった。
 共生の関係にあるのだけれど、「特別」な人の寄与は、本当はどの程度なのだろうか。また、チームメンバはどの程度取り替えが可能なのだろうか。また、「特別」な人は取り替え可能なのだろうか。
 前者は可能で、後者は不可能なのだろうけど、それはなぜなのだろうか。また、何が人を「特別」たらしめるのだろうか。


こだわりは程度問題

成功すれば全てよかったというのは、やはり違うと思う。
 例えば、故障するリスクを犯してまで、工場の工作機械まで、自分好みの色に塗らないと気がすまない、というのはやり過ぎだ。機能してこその、機械だし、その機能が美しいのではないか、と思う。
 こだわりの一貫性を人はどこまで持つべきなのだろうか。


人とは違う性格を強みにする

Steve Jobsのあの激しい性格では、日本のサラリーマンをするのは無理だろう。環境が重要なのだ。ただし、アメリカといえども、Jobsが衝突し、悩む姿には多くのページが割かれていた。
 自分の力が発揮できる環境を自分で作るってことなのだろうか。


Apple製品との関わりの履歴

良い機会なので、これまでに関わったApple製品をまとめておく。
  • ALinuxに触り始めた1998年ごろ、一時期AfterStepを使っていた。AfterStepはNeXTstepを参考にしたX Window SystemのWindow Manager。当時はNeXTとは何か、とかその背後にある思想については何も考えずに「タイルだな」と思いながら使っていた。
  • PowerMac G4のポリタンク: 大学院時代にデスクトップマシンとして使っていた。先輩のお古で、当時から遅くてイライラしたこともあったが、愛着のあるマシンであった。
  • iPod:静電式のホイールで、ストレージがHDDのiPod。ステンレスの背面に静電気ショックを食らわせてしまい、以後動作不良に。これから静電気ショック嫌いが強化された。
  • iPod Classic: iPodが壊れたので買い替えた。
  • iPod touch:タッチパネル付きのスクリーンになり、ストレージがフラッシュメモリになった。カメラがついていないバージョンを購入。未だに使っている。
  • Macbook Pro 13inch:就職を機に、家でもMacを使いはじめる。結婚式のムービーと写真の編集に活躍した。SSDに載せ替えて、2014年5月でも現役。
  • iPad2:Simフリー版が欲しかったので、ハワイに行った時に買ってきた。ちょうど円高の時だったので、お買い得だった。その後、マイクが壊れて渋谷のApple Storeで交換してもらった。
  • Macbook Air 11inch:海外に行くのにMacbook Proは重いので、買い足した。これが今のメインマシン。この文書もこれで書いている。

リンク
スティーブをしのんで Apple.com

2014年5月19日月曜日

読書記録 月は無慈悲な夜の女王

 読み終わったら4時だった。30歳を過ぎて徹夜してSF小説を読むことになろうとは思わなかった。すごく面白かった。

 巨匠、ハインラインの代表作である「月は無慈悲な夜の女王」は、流刑地化してしばらくたった月世界を舞台にしたSF小説。


 自意識を持って人間の言葉を操る「マイク」のメンテをするコンピュータ技術者「マニー」が主人公。その修理の仕方がユニークで、マニーはマイクと会話することでマイクを直してしまう。もちろん、紙にパンチしたプログラムをマイクに読ませてプログラミングすることもできるが、話したくて仕方がないのに「馬鹿でなし」がやってこないことを嘆いているマイクには「人間らしく」話しかけてあげることが一番の薬になるのだ。

 ストーリー回しもよい。はじめはテンポの良い展開で、読者は月世界の一員になってしまう。途中はゆったりと丁寧に書かれ、これで「革命」が起こるのだろうか、と思いながとにかく流されていく。ある転機を境に急流に巻き込まれ、そのまま一気に最後まで進んでいく。

 途中途中で、本書はマニーの回想であることが示されるので、「ああ、おそらくハッピーエンドなんだろうな」と思いながら読んだ。だから面白いが、焦らなくてよいので良い。

 さて、1966年に雑誌に連載されていたということなので、約半世紀前の小説ということになる。もちろん、私は生まれていないので、その頃の世界については、歴史的な出来事しか知らない。1966年というと、「ALPACレポート」が書かれた年で、機械翻訳に悲観的な判断がなされた年であった。そんな時に「饒舌な」マイクが現れたのは、ちょうど時代の盛り上がりの頂点だったのだろうか。

以下、抜粋。自分用のハイライト

P. 2
「ドクター・ワトソンがIBMを創立する前に書いた小説にちなんで、おれはこの計算機にマイクロフト・ホームズというあだ名を付けたのだ。この小説の主人公のすることといえば、ただすわって考えることだけだーそしてそれこそマイクのすることだ。」

へー、読んでみたい。

P.263
「わしたちは命をかけて入るが、そのことがわかるほどの年齢になっている。そのことについて、死ということを感情的につかめるようになっているべきだよ。子供というものは死が自分のところへやってくるのだということを、なかなかつかめないものなんだ。成人とは、人間が必ず死ななければいけないことを知り……そしてその宣告をうろたえることなく受け入れられる年齢だと定義してもいいぐらいなんだよ」

ふうむ。

ハインラインだと、「夏への扉 」もおすすめです。日本では「夏への扉 」が一番人気なハインライン作品らしいですよ。

幻の黒船カレーを追え

水野仁輔著「幻の黒船カレーを追え」を読んだ 。「 銀座ナイルレストラン物語 」( 読書記録 )を読んで、同じ著者が出しているカレーの物語、ということで本書を読んでみた。  今回の感想はややネタバレ気味なので、新鮮な気持ちで読みたい方は、この先を読む前に、本を読んでほしい。  で...