2019年11月4日月曜日
読書記録 東京おさぼりマップ
東京おさぼりマップを読んだ.
20分間の気分転換「おさぼり」のできるスポットを紹介している.
行動圏内だと神田のショパンとか千代田区立総合体育館(今は千代田区立スポーツセンター),大手町のネオ屋台村などが紹介されていた.
2006年刊行と結構古く,移転したりなくなったりしている場所もまま見られる.JTBの旅の図書館なんてあったのか,と思ったが,丸の内から南青山に移転していたりする.
具体的な情報よりも,巻頭のエッセイがよかった.
村上春樹のエッセイの挿絵をよく担当している安西水丸氏や本の雑誌の元発行人目黒考二氏,イギリスはおいしいの林望先生らが自分のおさぼりを紹介している.
古書店,図書館,公園......静かで,また静かすぎないところで身と心を休めたくなるよね.
読書記録 光圀伝
冲方丁著 光圀伝を読んだ.水戸光圀公をモデルとした時代小説.大河ドラマでやった方がいいと思う.絶対面白い.(と思って検索してみたらこんな署名サイトがあった.しかし,この事件でもう無理なのか…)
光圀公といえば,テレビドラマの水戸黄門のイメージだった.
「助さん,格さん,懲らしめてやりなさい」
「もういいでしょう」
「この紋所が目に入らぬか」
「ははー」
の定型で,究極のマンネリ.正直,あまりいいイメージはなかった.
本書の光圀はアツい.
冒頭は,老齢に達した光圀がある男を殺めるシーンで,そこから幼少期の回想に入っていく.最初から宮本武蔵や沢庵和尚が登場し,武と知の極みを光圀に見せる.光圀の時代は戦国と太平の端境期で,光圀は武から知,特に詩歌や歴史編纂へと傾いていくのだが,その二人は読者にとってよい道標となっていて,物語に入りやすい.私はここで掴まれた.
ちゃんとその理由は最後に回収されるのだが,あーーーとなった.なるほど,これはすごい.ネタバレしたい.
SF作家が科学的事実の間をうまく縫って物語の核となるテクノロジーを生み出すように,史実と史実の間をうまく縫ってすごい歴史エンターテインメントを作り上げている.著者がSF出身(マルドゥック・スクランブル)だからそう感じるのか.
また,天地明察の渋川春海も登場する.私は既読だったので思わずニヤッとしてしまった.
それから,筒井康隆の解説も良かった.ネタバレしたいけど,書けないよね,という共感が得られた.
おすすめ.
2019年11月3日日曜日
読書記録 人生を考えるのに遅すぎるということはない
2019年11月2日土曜日
読書記録 知の越境法~「質問力」を磨く~
池上彰著 知の越境法~「質問力」を磨く~を読んだ.
池上彰氏は「習慣子どもニュース」のお父さんとして知り,わかりやすく伝えてくれる人だなぁと思っていた.著書を読むのは初めて.
この本は,いかにして現在のフリージャーナリスト「池上彰」が生まれたか,を解説する自伝のようにもなっている.帯にもあるが,左遷がキーワードになっていて決して順風満帆な会社人生ではなかったことがわかって,勉強になった.左遷であれ,なんであれ,環境が変わったときに頑張れば,自分の引き出しが増えて次に繋がる.その実例が描かれている.生存者バイアスは割り引いて考える必要はあるが,それでも池上氏の行動には勇気づけられる.見習いたい.
で「質問力」については,いくつかポイントが挙げられていて実践的であった.
例えば「小学生にわかるように教えてください」という聞き方.自分がアウトプットする先を想定して,その要求を満たすように質問を組み立てるのだ.これは会社でも良さそう.
もう一つは,非専門家であることを自覚しつつ,最低限の勉強はしてインタビューに臨む,というもの.勉強しないのは論外なんですね.
最後は,質問リストは用意しつつも,現場ではそれを見ない,というもの.質問リストを順に聞くだけでは,議論が深まらない.回答に対して,あれ?と思ったことを深掘りすることで面白い議論ができる,という.これは確かにそう.機転がいって,難易度高いけど.
次は,この本で挙げられていた池上氏の現代史の本などを読みたい.
2019年11月1日金曜日
読書記録 村上龍料理小説集
村上龍著 村上龍料理小説集を読んだ.集英社文庫の方を図書館で借りて読んだのだが,いまは講談社文庫の方しか売っていないみたいなので,画像は講談社の方にした.
32の短編集.それぞれの章は前後でつながっていたりするので,はじめから読むと良いと思う.この本を読むと,なんだか上等な白ワインが無性に飲みたくなった.なので夜に読むようにしていた.
知らない食べ物も出てきた.例えば,フンギ・ポリツィーニというきのこで,フンギと略されていて?となった.検索してみるとポルチーニのことみたいだ.あとは,フロリダのストーンクラブ.コストコでも売ってたりするみたい.ただ,このブログに見るように,やっぱり現地のレストランで食べたいですね.
20代の頃は,村上龍氏の作品を1ページで挫折していたのだが,30代の今は「そういう人もいて,そういう表現もある」ということで読めるようになったし,それなりに楽しめる様になった.カンブリア宮殿の影響も大きいと思う.小説に反して,案外まじめな人なんだな,と.
巻末に1988年10月刊行とあって,バブル真っ盛りのころ出された本らしい.そのせいなのか,ニューヨークでもパリでも高級ホテル,高級レストランが多く登場する.
当時,日本は勢いがあったんだなということを感じる.いま,もしこうした本が書かれるとしたら,だいぶ違った雰囲気になるのではないかと思う.
時代のスナップショットとして,読んでみるのもよいと思う.
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