2019年11月4日月曜日
読書記録 光圀伝
冲方丁著 光圀伝を読んだ.水戸光圀公をモデルとした時代小説.大河ドラマでやった方がいいと思う.絶対面白い.(と思って検索してみたらこんな署名サイトがあった.しかし,この事件でもう無理なのか…)
光圀公といえば,テレビドラマの水戸黄門のイメージだった.
「助さん,格さん,懲らしめてやりなさい」
「もういいでしょう」
「この紋所が目に入らぬか」
「ははー」
の定型で,究極のマンネリ.正直,あまりいいイメージはなかった.
本書の光圀はアツい.
冒頭は,老齢に達した光圀がある男を殺めるシーンで,そこから幼少期の回想に入っていく.最初から宮本武蔵や沢庵和尚が登場し,武と知の極みを光圀に見せる.光圀の時代は戦国と太平の端境期で,光圀は武から知,特に詩歌や歴史編纂へと傾いていくのだが,その二人は読者にとってよい道標となっていて,物語に入りやすい.私はここで掴まれた.
ちゃんとその理由は最後に回収されるのだが,あーーーとなった.なるほど,これはすごい.ネタバレしたい.
SF作家が科学的事実の間をうまく縫って物語の核となるテクノロジーを生み出すように,史実と史実の間をうまく縫ってすごい歴史エンターテインメントを作り上げている.著者がSF出身(マルドゥック・スクランブル)だからそう感じるのか.
また,天地明察の渋川春海も登場する.私は既読だったので思わずニヤッとしてしまった.
それから,筒井康隆の解説も良かった.ネタバレしたいけど,書けないよね,という共感が得られた.
おすすめ.
登録:
コメントの投稿 (Atom)
幻の黒船カレーを追え
水野仁輔著「幻の黒船カレーを追え」を読んだ 。「 銀座ナイルレストラン物語 」( 読書記録 )を読んで、同じ著者が出しているカレーの物語、ということで本書を読んでみた。 今回の感想はややネタバレ気味なので、新鮮な気持ちで読みたい方は、この先を読む前に、本を読んでほしい。 で...
-
聴講状況 探索のセッションを聞いたのだが,A*の最近のところとかを聞けて面白かった. RTA*の拡張として,不確実な問題空間(環境が変化する場合)の話とか. A*の並列化とか. 探索空間は二つの定義の方法があるよ,とか. 招待講演1 ミンスキー 先生のご講演を聴く 最近 翻訳がで...
-
動機 MacOSX 10.6.6のpython 2.6処理系で,numpy, scipy, matplotが使いたい. 手法 Macportsを使ってインストールする. 手順 処理系の選択: macportのpy26-* sudo port install py...
-
聴講状況 ロボットのセッションを二つ 最適化のセッションを一つ ロボットと人のコミュニケーションと言語に関するオーガナイズドセッションを一つ 質問は二件. 初めのセッションの初めの発表 の初めの質問を勝ち取る.ロボット持ち歩くのはなぁ.携帯にマニピュレータがつく,とか? センサネ...
0 件のコメント:
コメントを投稿