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今村 昌弘著「魔眼の匣の殺人」 |
「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」
本作は、予知能力を題材にしたミステリー。魔眼の匣(はこ)とは、予知能力者が住む山奥の村の(元)研究施設の名前。村の住民たちが、予言を恐れて村を離れる中、施設を訪れた主人公たちは、施設に閉じ込められてしまい、惨劇の幕があがる。
本作は、小平の図書館で5月に予約していて、半年待ってようやく借りられた。前作屍人荘の殺人(読書記録、Webコミック)がとても面白かったのでとても期待値Maxで読んだ。一日で読んでしまった。
本作は、前作に続いて舞台設定(というか、世界設定?)に特徴がある。
予言をアリバイづくりやトリックとして使う作品はよく見るように思うが、本作は違う。
「本当に的中する予言あったとしたら、どんな物語が展開できるか」というスタイルを採用する。とはいえ、全員が予言を信じているわけでなく、村の住人以外にはほとんど知られていない。なので、外からくる予言を信じない人、予言を恐れている村の住人のそれぞれの行動が物語を展開させていく。
設定がしっかりしているからだろうか、ああ、こういうこともあるだろうなという、ある種のリアルさを感じさせることに成功している。
その一方で、やや設定を作り込みすぎた感もある。後半で謎が次々と明らかになるのだが、開示される謎とそれに釣り合うだけの物語があったか、を比較するとやや謎が勝ちすぎているように感じた。本作が、そうだと言っているわけではないのだが、物語のない謎の開示は設定集を読むようなものである。個人的には、せっかく魅力的なキャラクタがいるのだから、各人を人として描く比率を高めてもよかったのでは、と感じた。これから読む人は各登場人物のストーリーを頭の中で十分に膨らませて読むことをおすすめする。
ともあれ、屍人荘の殺人につづいて、新しいエンタメ的ミステリーを提示していて、楽しめることは間違いない。
Youtubeで本書に関する著者インタビューを見つけた。
前作を読まずに、本作から読んでも良いといっているが、私は前作も読むことをおすすめする。重要な登場人物や組織は前作から引き継がれているし、前作の事件を踏まえた心理描写も多いので。
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