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恒川光太郎 スタープレイヤー |
「十の願い」という特殊能力を持って、地球ではない別の世界で冒険の日々を送ることになった斉藤夕月。女。三十四歳。無職。本作はそんな彼女の異世界での暮らしを綴ったファンタジー小説である。
本作は下記のように始まる
2001年 東京 三月
小金井市の住宅に真っ白な男がいた。これがこの本を読むきっかけになった。舞台が近所だったから。ファンタジーを楽しめるかどうかは、その世界に浸れるかどうかにかかっている。場所つながりで、世界に入っていけるかもしれないと思ったのである。
読み始めれば、場所などほとんど関係なくスッとスタープレイヤーの世界に入り込めた。文章力がすごい。
プロットもよく練られている。願いを増やす願いを試みる(願いハック)など、よくある設定つつきなどに時間を使わず、その世界で生きるために、リアルに話が進んでいく。
そう、マイクラの初日に、なんとか日暮れまでに家を作り、安心して寝られる場所を確保するかのように。
また、人間関係の描き方もよかった。
最初に一人の暮らしを描き、次に二人の関係、そして村社会、国家と次第に人間関係が広がっていく。その中で、斉藤は成長していくのだが、要素が整理されているだけ、物語として伝えたいことがクリアになっている。
あとがきで「ファンタジー小説はまず書かせてもらえるようになるのが大変」とあるように、昨今の出版不況では相当な実力者でないとファンタジーは書けなくなっているらしい。そのハードルを超えたのも納得の本作は、皆におすすめできる。
本作には続編のヘブンメイカーも出ているので、今度はそちらも読んでみたい。
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