スティーヴン・キングの「呪われた街」は、20世紀の吸血鬼のお話。Wikipediaによると、1975年に発行されている。処女作のキャリーが1974年なので、スティーヴン・キングのキャリアの最初期に書かれた作品のようだ。
アメリカの田舎町、丘の上にある不気味な洋館、密かに下僕を増やし続ける吸血鬼、という今ではありがちな設定であるが、細かな描写の積み重ねによってグイグイと引き込まれていく。ディテールが恐怖を形作る、というのがよく分かる。
町のいろいろな人に代わる代わる焦点が当たって物語が進んでいくのだが、特に印象に残ったのが、DVを受ける妻と育児放棄された赤ちゃんのところだ。親の身として、小さな命が損なわれていくのはつらかった。きっと読者のライフステージによって共感する人物が変わるのだろうと思う。
ただ、少し描写がバタつくところもあって、努力作という印象を受けた。今でこそモダンホラーの巨匠と言われているが、最初から完璧であったわけではなく、そのキャリアを通じて自分を高めていったのだということがわかる作品であった。
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