村上龍著「ハバナ・モード」を読んだ。13歳のハローワークと半島を出よの間に書かれたエッセイ。小説家のエッセイは好きで、村上春樹の村上朝日堂や椎名誠の新宿赤マントシリーズを読んでいた。村上龍のエッセイは初めて。
結構、社会批評色の強いエッセイだなと思った。
例えば、表題になっている「ハバナ・モード」についてもそうで、困難にぶつかったとき、キューバの人たちはどのように対処するのか、ということが書かれている。なので、キューバ人という総体を扱っている。個人寄りか社会寄りかといえば社会寄りである。
ハバナ・モードとは何なのかというと、次の三つの態度を伴う問題解決の基本姿勢だと解釈した:
- 困難を直視する
- そのうえで、楽観的な気持ちで解決策を探る
- 解決に向かってひたすら努力する
たとえば、キューバはアメリカに経済制裁を受けて、化学肥料が手に入らなくなった。それで、人々は化学肥料の代わりに有機肥料を使い、農業を発展させた。その結果、今(2000年代前半)では有機農業の最先端を行っているという。
世間的にはニッチに見えても自分の道にひたすらこだわることで、いつの日か最先端に返り咲いたところはDeep Learningと重なるところがある。解決できることを信じて、ひたすら取り組むと本質をつかむことができる、ということなのかもしれない。
今の世の中の流れに安易に流されず、腰を据えて取り組む、というか。
思い返してみれば、このブログもそうだ。
短文が基本のSNSがあたりまえの時代に、あえて長文を書くのは、読んだ本に対して自分の感想や立場を一貫して説明し、記録するためだ。
短文は、短文で役割がある。しかし、知を身に着けるということは、自分の考えを、読み手に補完させることなく述べきることができることだと考えている。そのためには、長文は欠かせない。
エッセイはほかにもいろいろなテーマについても書かれていたが「ハバナ・モード」、それだけひとつ取り上げても勉強になる本だった。
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