2019年12月16日月曜日

読書記録 ぼくのフライドチキンはおいしいよ



中尾明著「ぼくのフライドチキンはおいしいよ あのカーネルおじさんの、びっくり人生」を読んだ。

ここのところ、子どもに伝記を読み聞かせている。エジソン、ライト兄弟ときて三冊目の本がこのカーネルサンダースの伝記だった。

本書は、主に小学生向けに書かれたカーネルサンダース(本名ハーランド・デーヴィッド・サンダース)の伝記だ。読む前の時点で、ケンタッキーフライドチキン(KFC)の店頭に立っている人形の人、65歳でKFCを立ち上げた、くらいしかカーネルサンダースの知識はなかった。てっきり会社を定年(?)退職して、KFCを立ち上げた脱サララーメン店主みたいな人なのかと思っていたのだが、この本を読んでそれが全然間違いだったことがわかった。

Wikipediaにも書いてあるが、大きく言うと機関車の火夫 → 弁護士見習い → タイヤのセールスマン → ガソリンスタンド経営 → レストラン経営 → ケンタッキーという流れで職を転々としている。仕事を変える都度都度で一文無しになっているところがすごい。65歳で無一文。そこからKFCで大逆転。

すごい。

また、それぞれの職で伝説的な逸話を残しているのがすごい。

たとえば、カーネルが火夫をしているとき、別の鉄道会社の列車が脱線事故を起こした。近くにいたカーネルは、その鉄道会社を相手に被害者のために交渉し、会社から多額の賠償金を勝ち取った。当時は、鉄道事故が起こったとき、鉄道会社は少額のお見舞金を配って終わりで、被害者はけがの治療費も満足にえられない、というのが常識だった。カーネルの行動は異例中の異例だ。当然このエピソードは鉄道会社に広く知れ渡り、会社に損失を与えた男として、以後、カーネルは鉄道業界から追放されてしまう。

レストランを始めた経緯も、もともとはガソリンスタンドのサービス向上の一環だった。章のタイトルにもなっているが「車にはガソリン、人には食事」というわけだ。レストランでも、より喜んでもらうにはどうしたらよいかを考えて、秘密のイレブンスパイスや圧力釜による高圧調理を発明し、のちのKFCにつながっていく。

自分の正義心と、人の役に立ちたいという思いを貫き通した人なんだろうなと思う。

ただ、正義のためには実力行使も辞さないところはやばい。椅子を振り上げるシーンが2回も登場する。弁護士見習い時代と、KFC時代と。60過ぎて、肉切り包丁に椅子で対抗するとか。普通ではない。

また、商売もうまい、というかよく考えられているなと思った。KFCはチェーン展開をするのだけれど、スパイスだけはカーネル(と家族)だけが調合し、ほかの人には秘密にしていた。そうすると、スパイスの減り具合からどれくらいチキンが売れているかが推測できる。これにより、売り上げに連動するローヤルティが正しく支払われているかを検証することができる。

伝記を読むと、偉人は変人でもあることが分かって面白い。
同じ著者が安藤百福の伝記も書いているので手に入ったら読みたい。

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