2019年7月14日日曜日

読書記録 呼吸入門

齋藤孝著 呼吸入門 を読んだ.

本書では,日本には伝統の呼吸法があったと主張し,現代ではその伝統が断絶しかかっていると問題を提起する.そして,現代人が伝統の呼吸法を取り戻すエクササイズとして
3秒吸って,2秒とめ,15秒で吐くという齋藤式呼吸法を提案している.



この呼吸の特徴は,下記にあるように吐くことに重きを置いている.吐けば,吸える.
捨てればスペースができ,そこが自然と満ちてくる.その「他力」を信じる.(P. 60)
齋藤先生は,授業中に子どもを集中させるために,課題の前にこの呼吸をさせたりするそうだ.何日も続けていると,子どもたちはこの呼吸をすることで集中モードに入ることができるようになる,とのこと.スポーツ選手がするようなルーティンの一種のようになっているのかもしれない.

私は本書を読んで,姿勢とか呼吸に意識がいくようになった.

本を読む際にも,また,コーディングでの難解な局面でも,ふと姿勢が悪くなって,呼吸が浅くなていることに気づく.そんなときは,すっと骨盤を正して深く呼吸をしてみる.それで集中力が戻らないなら,力を使い切っている証拠であり,休憩したり他のタスクに切り替えたりする.

呼吸をきっかけに生産性が高まったように思う.

本書の話に戻る.齋藤孝先生の研究の出発点が呼吸と教育の関係性についてであったのは本書を読んで初めて知った.「息の人間学」が研究者向けであるのに対して,本書「呼吸入門」は一般向けの内容になっている.

ただし,よくあるHowTo本とは違って,呼吸と日本の身体文化,呼吸と武術,呼吸と能の関係などを論じて,呼吸の重要性を説明していて,なるほど深いなと思った.20年の研究成果に裏打ちされている.

一方で,「XX力」などのシリーズと同様に本書も非常に読みやすい.こういうリズムのある説明も,整った呼吸から生み出されているのかもしれない.

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