本書のポイントは3点
- 固定観念を疑う
習ったことが実は例外だったりする.couldは実はcanの過去形の意味としてはほぼ使われていない,など.自分の理解が間違っているのでは,と疑ってみる. - 削ぎ落とす
個別に丸暗記するのではなくて,直訳や本来の意味から推測してみる.仮説検証を回して少ないルールで多くの事例をカバーできるようにする. - 文化背景から攻める
surpriseが驚かすなのは,人ならぬ神が驚かしているから?と考えてみるなど.英語はキリスト教の文化圏で発達したという背景を意識する.
このような暗記しないで,少ないルールから推論する,という方法は英語に限った話ではなく,他の分野でも見られると思う.
例えば数学の場合,解法やパターンを暗記して機械的に適用するというアプローチがある.これは暗記パターンに相当する.大学入試を前提とした勉強だと,短時間で多くの問題を解くことが優先されるので,この方法がノーマルルートになっているかもしれない.
一方で,数学でも公理や定義,定理から出発して,自力で解くこともできる.その方が時間はかかるが応用力がつく.受験でも難関大学だと実はその力が大事だったりする.
知の拡大再生産の場である研究の世界では,そもそもそのテクニックが確立されていないわけで,自分で試行錯誤してそれを見つける力が求められる.
(とはいえ,ファインマンメソッドのように,他の分野で確立された方法を別の分野に使えないか,など,テクニックの流用がないわけではない.ただし,その場合にも分野の壁を超える場合には,その方法がそのまま使えるケースは少なく,自分で作り直す作業があ発生する)
話はそれてしまったが,本書を読んでいいな,と思ったのは次のふたつ.
1.仮説検証を回す
前述の暗記しない方法で英語を勉強していく場合,自力で英語の法則を見つけていくことになる.ここで重要になるのが,そのオレオレ法則(=仮説)が実際に機能するのかを,折りに触れ検証することである.
例えば,本書で紹介されている「前置詞のforは方向が主な意味で,その他の目的など意味はそれからの派生」というパタンの場合,英文にforが出てくるたびに「方向から連想できる?」と考えてみるとが仮説検証に相当する.
2.辞書を引いて主な意味を確認する
本書を読んで,紙の辞書を読み直してみたら,改めてその価値を認識した.
辞書は単語帳ではなく,読み物だった.つまり上から下にストーリーがある.
例えば,自動詞,他動詞,どっちが自然か,などは登場順を見ればわかる.
(今の辞書はそうなってないものもあるが,語義展開などで補足されている場合が多い.ジーニアス英和辞典などはそう.)
私は普段,macの辞書は意味を確認するのに愛用している.
情報としてはそんなに変わらないのだが,単語帳っぽく,意味を拾い上げるに使っている.紙の辞書と電子辞書は適材適所だな,と思った.
持ち出して使うなら電子辞書,家でじっくり読むなら紙の辞書だ.
村上春樹が無人島に持っていくなら覚えたい外国語の辞書
といっていた気持ちがわかった気がする.
関先生の本はサバイバル英文法に続いて2冊目.前回の記録はこちら: 読書記録 サバイバル英文法
今度は,本書で紹介されていた,伊藤和夫著 ビジュアル英文解釈か英文解釈教室などを読んでみようかな.受験の参考書らしいけど.
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