2019年7月15日月曜日

読書記録 稲盛和夫の実践アメーバ経営 全社員が自ら採算をつくる

稲盛和夫著「稲盛和夫の実践アメーバ経営 全社員が自ら採算をつくる」を読んだ.稲盛氏は,京セラ,KDDI(の前身のDDI),日本航空(JAL)の経営トップを歴任されてきた日本を代表する実業家.本書は,稲盛氏が培ってきたアメーバ経営をどのように実践するのかをJALなどの事例をもとに説明している.



その名も「アメーバ経営」という本もあるが,そちらはまだ読んでいない.そちらは2006年とやや時間が経っているのに対して,本書は2017年出版と新しく,また例が多くとっつきやすそうだったので,まずこちらから読むことにした.文字が大きく200ページと短いのですぐ読めたし,アメーバ経営の基本的な考え方も説明されていて,自己完結しているので,その判断は正解だったと思う.

財務会計と管理会計というふたつの会計システムがあって,アメーバ経営では主に後者に関する.粗くまとめると,会社を5人程度のアメーバという単位に分割し,それぞれのアメーバを独立採算制で運用する.外部とのお金のやり取りのある部署ばかりではないので,社内で取引するという考え方で採算を評価する.

上記のような方法により,下記のようなメリットがある

  • いつでも,会社のどの部分が問題があるのかを経理的に明らかにできる
  • 小さな単位で採算性を意識させ,社員ひとりひとりに経営感覚をもたせることができる
考え方はシンプルで,なるほどなぁと思うけれど,実際に運用するには社内取引に関する値付けなどに工夫が必要で,なかなか一筋縄ではいかなさそうだった.

製造業,通信業,輸送業などで稲盛氏が成功をおさめているという実績を考えると,アメーバ経営を適切に運用するための一段メタな部分である(経営)哲学の部分が重要なのではないかと思う.


次は今の仕事を改善するために何ができるのかを考えるべきなのだろう.OSS開発だと,社内に閉じないので社内取引とは?となるしね.

もし,ソフトをインストールと取引が発生したと考えるなら,使わないインセンティブが働いてしまいそう.新しいソフトを使うには,ただでさえ学習コストや乗り換えコストがかかるし.

今度は,ソフトウェア産業の経営に関する本を読んでみたいと思う.

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