先月,上の子どもと特別展「大哺乳類展2」を見てきて,とても良かったので,科学博物館についてもっと知りたくなったため.
本書は,東京・上野にある国立科学博物館(科博)の日本館を掘り下げている.科博には,日本館と地球館の2つの建物があり,日本館は日本列島の自然と日本人について,地球館は地球全体の生命の歴史と人類全体について,というテーマで展示をしている.
本書は日本館側なので,日本列島を形作る岩石から,そのうえの土壌,植物,動物について見どころを教えてくれる.
意外と地元の岐阜県出てきて,驚いた.
幻の奇獣「デスモスチルス」の化石は岐阜県瑞浪市産とのこと.海棲哺乳類で本書ではアシカみたいな顔で描かれている.Wikipediaによるとカバのような姿をしているらしい.こんなものが歩いたり泳いだりしていたのか.
また,史上最大とも言われる二枚貝「シカマイア」の化石も岐阜の赤坂金生山で出たもの.大きいものは畳サイズになるとのこと.しかも,このシカマイアは金生山で,世界で初めて発見されたという.以外な巨大化石の宝庫だった.
なぜここで巨大化石が見つかるのかは未だ謎.
金生山は実家から(頑張ればなんとか)歩いていけるくらい近いので,リタイアしたら実家に戻って化石掘ってくらそうかな,などと夢が広がる.巨大化石の謎を解き明かすんだ!
しかし,その頃には金生山石灰工業に掘り尽くされて,山がなくなっていたりして.
展示室以外の施設の紹介もあって,レストランは実は上野精養軒が運営しているということが判明.この前は混んでいて諦めてしまったが,味は期待できそう.一回入ってみたい.
また,じつは,科博はつくばにも拠点がある.上野地区の展示数は約1万5000点であるのに対して,つくばの標本棟は430万点(本書の執筆時点.科博はコレクションを手放さない方針なので今はもっと増えているはず)と桁違いに多い.実は科博のコレクションの殆どはつくばにあるということになる.この本を読んで初めて知った.
普段は非公開なのだが,本書ではそこにも潜入している.
8階建ての施設を7階から下に降りながらコレクションを解説する.
上に軽いもの,下に重いものを置いている.例えば,一階には大型動物骨格・化石標本室と大型動物液浸標本室があり,ダイオウイカの標本水槽とかが置かれている.
年一で公開していて,その日なら中を見れるそうだ.
2019年は4月21日(日)だったようで,もう終わっていた.また来年.
一通りコレクションの紹介が終わったところで2001年の独立行政法人化以降の特別展のポスターがアーカイブされていた.
2005年の「縄文VS弥生」は見に行った.もうそんな前なのか
2010年の「大哺乳類展」は前回の哺乳類展だ.前回も行っていたら,9年間の進歩が見分けられたのだろうか.
というわけで,盛り沢山な科博であった.
本書を読んで見どころや展示の工夫,舞台裏での研究についての理解が深まったところで,また科博に行きたい.
なお,地球館の本もあるみたいなので,また今度読みたい.